アメリカの外交官としての30年以上に渡るキャリアの後、現在は日本MGM リゾーツの代表執行役員兼社長を務めるジェイソン・ハイランドが、7月8日(月)都内で行われた、「『IRで日本が変わる ~カジノと観光都市の未来~』出版記念レセプション、ハイランド×立川誌の春トークセッション」に出席。カジノをはじめ、エンターテインメント、ライブ、国際会議場・展示場、観光、レストランといったあらゆる産業を包摂した統合型リゾート(以下IR)の、日本での可能性を語った。

MGMリゾーツは世界有数のエンターテインメント企業で、「ベラージオ」といった28のホテルブランド、25以上のアリーナ・劇場、470以上の飲食・クラブ店舗の保有、さらに年7,800以上のショー開催、カジノ、ショッピングモールを総合的に運営。レディー・ガガやブルーノ・マーズといったトップアーティストの定期公演も行い、ラスベガスをエンターテインメントによる誘客都市に進化させた。

ハイランドは在日米国大使館首席公使および臨時代理大使を務め計15年間日本に在住、外交官としてのキャリアを経た知日派で、2017年にMGMリゾーツ日本法人の社長に就任。今年2019年6月、著書『IRで日本が変わる ~カジノと観光都市の未来~』を発売し、日本を愛し、日本に携わり続けてきたハイランドが、世界に発信すべき日本文化の強みや、世界のIRの最前線を紹介している。

トークセッション前のあいさつでハイランドは、「日本に関する私の今までの経験を生かし、元外交官の立場からこの本を書きました。もし日本の皆様の IR へのご理解を深めることに少しでも貢献できれば嬉しい」と出版の経緯を説明。また、立川誌の春については、以前に彼の落語を見て感動したことを述べ、さらに米・イェール大学卒業、三井物産で働いたキャリアから「日本の伝統文化とビジネスを繋げる人物です」と紹介した。

「IR=カジノ」ではない 統合型リゾートで日本の文化を発信する

「IR」と聞くと、これまで馴染みのなかった日本人は「オンラインカジノランキング」をイメージするが、あらゆる産業が複合したプラットフォームのことである。IRは日本の文化やエンターテインメントを発信する場や、国際会議を開く場にもなると、ハイランドは語る。

ラスベガスでも、本当に楽しいアート作品や新しいパフォーマー、演目がありますが、日本の素晴らしいアーティストの方々も世界に紹介していくべきです。私たちはどうすればコラボレーションができ、どうすれば日本のみなさんと新しいものが作れるかを考えています。ラスベガスで人気のプログラムをそのまま日本に持ってくるだけではなく、クリエイティブに日本独自のものを作れないか検討しています。そして、日本に住む人と日本に来た海外の人のみなさんに、楽しんでいただきたいと思っています。

国際会議や大企業の会議を日本で行うことができれば、それだけでも素晴らしい文化交流が図れます。現在、大規模なイベントや会議を行う会場が日本にはあまり存在しないので、大規模な会議を行える場所を作るだけでも、IRを立てる価値があります。国内で国際会議を主宰できれば、文化交流にもつながっていきますし、経済を発展させ、イノベーションを促進させることにも繋がります。

ギャンブル等依存症への考え

ギャンブル等依存症について、非常に深刻な問題だと私たちは捉えていますので、それに対してきちんと向き合っております。日本においてもこの考えは同じで、IR法案ができる前から、私たちは実際に日本の専門家の方々と依存症についての話し合いを重ねてきました。懸念や不安をなるべく緩和できるよう、日本の方々との関係構築も以前からずっと続けておりますし、問題の対策や、私たちの方針を説明する準備ができています。

責任あるゲーミングのための、他にはない、独自のプログラムも開発しております。これは、地元の方々の信頼を得るための大変重要なプログラムです。MGMリゾーツはいろんな経験とコンタクトがありますから、それが地域のご支援に繋がればと思っています。

日本が好きだからこそ、IRで素晴らしい観光資源を世界に伝えたい

学生の頃に1年間日本に留学し、それから47都道府県のうち44の都道府県に足を運ぶほど、日本好きだというハイランド。日本人よりも日本の隅々に足を運んだことで、世界に発信すべき魅力を多く発見したという。

日本とは学生時代から関わりがありました。外交官として世界中を回ってきたのですが、日本には何度も来日し、札幌、東京、福岡などいろんな所に滞在。その中で日本との縁を感じました。

MGMリゾーツ・インターナショナルの会長のジム・ムーレンですが、彼は非常に誠実で腰が低く、また彼ほど日本のことを好きな人はいないと思っています。彼に会って私は大変感銘を受けました。それでMGMリゾーツに入って日本でのIR 成功に貢献したいと思ったのです。

IRは国レベルの大変重要なプロジェクトです。特に地方の活性化、観光の推進、イノベーションなど、IRは多くの影響を与えます。重要であるからこそ、最大のプラス効果が得られるように、かつ、日本の文化に合った形で導入することが大切です。

会長のジム・ムーレンは本当に日本の旅が大好きで、一緒に高野山(和歌山県)や金沢へも行きました。日本の観光・文化資源をより深く理解するためです。それとは別に、私は家族と屋久島、周防大島(山口県)など数えきれないほど様々な所へ行きました。周防大島には星野哲郎さん(作詞家)の素晴らしい記念館があり、屋久島は本当に神秘的で歴史が非常に深い所だと思いました。

今の観光客はストーリーを求めているのです。その町の歴史を深く理解し、町に住んでいる人、あるいは歴史に出てくる登場人物といった、そういうストーリーが大事なのです。IRによって、日本の素晴らしい所がもっと世界に紹介されることを願っています。

日本でのIRはカジノばかりが前面に出て、『海外仕込みの、派手で大きなエンターテインメントが日本に根付くのか?』そんな風に思う方も多くいるであろうが、屋久島や周防大島の思い出をまるで祖国を紹介するように、嬉しそうに語るハイランドの姿に、彼が考える新しい日本の未来をもっと知ってみたくなった。

MGMリゾーツ日本法人トップ、ジェイソン・ハイランド著書「IRで日本が変わる ~カジノと観光都市の未来~」は全国の書店ならびにオンラインショップで発売中。